2011年08月31日

海洋生態系の低次栄養段階に漁業が与える影響と鯨と船の遭遇に船速が与える影響のベイズアプローチによる理解

一本目

Impacts of Fishing low trophic levelspecies on Marine ecosystem. Anthony D. M. Smith, Christopher J. Brown, Catherine M. Bulman, Elizabeth A. Fulton, Penny Johnson, Isaac C. Kaplan, Hector Lozano-Montes, Steven Mackinson, Martin Marzloff, Lynne J. Shannon, Yunne-Jai Shin, Jorge Tam. (2011). Science 333, 1147.


5つの地域(フンボルト海流の北側、ベンゲラ海流の南、カリフォルニア海流南、北海、オーストラリア大陸棚の南東)からの低次生産者(オキアミとかアンチョビ)のデータを取ってきて複数の生態系モデル(EwE, OSMOSE, Atlantis)で解析している。面白いのがFig2で、低次生産者が全部で11種いるのだが、それらを全く漁獲しない場合から、枯渇させるまで漁獲したという条件で、低次生産者以外のバイオマスが40%以上変化する場合がどの程度になるのか、ということをシミュレーションしている。すると、場所ごとに低次生産者の与えるインパクトが違っており、同じ低次生産者でもあるところではあんまり多種にインパクトを与えないのが、ある他の海域では大きなインパクトを与えるという風な結果となっている。さらに、Fig4では、多種に与えるインパクトとその低次生産者を漁獲した場合の利益がトレードオフになっていることを示す。つまり、多種へのインパクトを抑えようと思ったら、低次生産者の漁獲も小さくしないといけない。どちらを重要視するか、という点でトレードオフ、ということだろうと思う。計算して見ると、MSYレベルで取れるのは、低次生産者の枯渇率が60%のときだが、それを25%まで下げたとしても、利益は20%も減少しない。一方で多種へのインパクトは1/3まで下がる。ある意味、当たり前のような結果ではあったため、安心して読めた。


二本目
A Bayesian approach for understanding the role of ship speed in whale–ship encounters. Scott M. Gende, A. Noble Hendrix, Karin R. Harris, Bill Eichenlaub, Julie Nielsen and Sanjay Pyare. (2011). Ecological Applications, 21(6), 2232–2240
場所はアメリカのファンディ湾で、対象はザトウクジラ。鯨との遭遇距離が船速の関数になっていると仮定。さらにあるスピード以上になったときと、それ以下のスピードで発見距離の従う分布が異なっていると仮定。そのあるスピードというのを変化点として、その事後分布をMCMCで探索している。同時に、距離が従う分布の分散と、変化点より早いスピードのデータと遅いスピードのデータの平均発見距離も事後分布を推定。結果は、11.8knotが最も高い確率となっている変化点であり、そのときの平均発見距離で最も確率が高くなる距離は、448mと562mであった。つまり、船を11.8knotより速く走らせるか、遅く走らせるか、で平均発見距離に120mくらいの開きがある、ということである。そこから考察を膨らませるのか、と思いきや船速が重要ということが分かった、とだけの控えめな主張。あとは他の引用文献を持ってくるばかりで、結果の数字は全く使われない。確かに、全ての鯨類に当てはめるには無理があるのでこうなるのかもしれないが、ちょっと面白みに欠ける考察であった。
posted by しばきん at 17:27| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

9月の目標

・英語

今月からリスニングとスピーキングの練習に移行する。
やってみないと分からないが、part2まで終わらせる。余裕があればさらにその先もやる。

・数理統計学
こちらは英語と違って、アウトプットをしにくいので進みが遅い。しかし先ほど共同研究者の方に言葉の定義の厳密性に関して愛のムチを受けたので、やる気が出てきた。セクション4(p49-62)までを終わらせる。
posted by しばきん at 11:03| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の目標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月30日

ガンマ分布とベータ分布

自分で絵を描いてみて確認。β分布の柔軟性に驚いた。

> ###############
> ###ガンマ関数作成###
> ###############
> gamma_func <- function(x, a) {
+ x^(a-1)*exp(-x)
+ }
> #integrate(gamma_func, 0, Inf, a=1)
>
> ###ガンマ分布###
> gamma_dist <- function(a, b, y) {
+ (y^(a-1)/(integrate(gamma_func, 0, Inf, a=a)$value*b^a))*exp(-y/b)
+ }
>
> ###既存関数と確認###
> jpeg("Gamma.jpeg")
> a <- 1:10
> X <- seq(0.01, 10, length=100)
> for (i in 1 : 10){
+ plot(X, gamma_dist(a=a[i], b=2, y=X),
+ xlim=c(0, 10), ylim=c(0, 0.5), xaxt = "n", yaxt="n",
+ type="l", col=i, main="Gamma_distributions")
+ points(X, dgamma(x=X, shape=a[i], scale=2))
+ par(new=T)
+ }
> axis(1, 0:10)
> axis(2, seq(0, 0.5, length=6))
>
> dev.off()
windows
2

Gamma.jpeg
> ###階乗計算になっていることを確認###
> integrate(gamma_func, 0, Inf, a=5)$value
[1] 24
> gamma(5)
[1] 24


部分積分によって、階乗計算の関係を導くところがすごく美しい(p44)。
なるほど、確かに階乗計算になる。それでガンマ関数を使って階乗が出来るのか。

> ###############
> ###ガンマ関数作成###
> ###############
>
> ###############
> ###ベータ関数作成###
> ###############
>
> beta_func <- function(x, a, b){
+ (x^(a-1))*((1-x)^(b-1))
+ }
> #integrate(beta_func, 0, 1, a=1, b=1)
>
> ###ベータ分布###
> jpeg("Beta.jpeg")
> beta_dist <- function(y, a, b) {
+ (y^(a-1))*((1-y)^(b-1))/integrate(beta_func, 0, 1, a=a, b=b)$value
+ }
> a <- seq(0.01, 5, length=20)
> b <- 1
> X <- seq(0, 1, length=100)
> for (i in 1 : length(a)){
+ plot(X, beta_dist(y=X, a=a[i], b=b), xlim=c(0, 1), ylim=c(0, 5), xaxt = "n", yaxt="n",
+ type="l", col=i, main="Beta_distributions")
+ points(X, dbeta(x=X, shape1=a[i], shape2=b))
+ par(new=T)
+ }
>
> axis(1, 0:1)
> axis(2, seq(0, 5, length=6))
> dev.off()
windows
2
Beta.jpeg

これで今月の目標も達成できたことにする。ヤコビアンを使ってガンマ関数とベータ関数を関連付けるところ等、分からない部分もあったがとりあえず置いておく。
ラベル:R 統計学
posted by しばきん at 16:14| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月28日

混獲と南アメリカでのアンケート

途中まで書いていたやつがナゾの自動更新によって全部消えるというアクシデントにもめげず、もう一度書く。二本目消えたのがいたかった。

一本目
Spatial and temporal patterns in the bycatch of seabirds in teh Argentinian longline fishery. Fish. Bull. 104:482–485 (2006).
アルゼンチンの延縄で海鳥への混獲に効く要因を調べた論文。月の満ち欠けと水深が混獲に効いているらしい。暗くなるほど混獲されにくいという理論があるらしい。個体群への影響は今回の研究からはなさそうだが、違法操業している船を合わせるとわからないとのこと。

二本目
Marine ecosystem-based management in the Southern COne of South America; Stakeholder perceptions and lessons for implementation. Marine Policy Volume 33, Issue 5, 2009, Pages 801-806
生態系管理の原則がどのくらいステークホルダーに認知されているかを研究した論文。原則はこの論文では12条紹介されていて、
1. 社会の選択;生物資源、水、土地を管理する目的は社会が選択する問題である。
2. 分散化;管理する際は適切に低いレベルまで分散化されなければならない。
3. 隣接効果;生態系管理者は隣接した生態系への直接あるいは潜在的な効果を考慮しなければならない。
4. 経済的観点;管理から得られる潜在的な利益を認識し、通常は経済的観点で生態系の管理と理解がなされる。
5. 機能の保全;生態系サービスを維持するために、生態系の構造と機能の保全が生態系アプローチの第一目標とされなければならない。
6. 適切な限界;生態系はその機能の限界内で管理されなければならない。
7. 適切なスケール;生態系アプローチは適切な時空間スケールで行われなければならない。
8. 長期間;可変的な一時のスケールや遅れ効果が生態系を形作ることを認識し、生態系の目標は長期間に渡って設定されるべきである。
9. 避けられない変化;管理をしていく中で変化は不可避であると認識するに違いない。
10. 利用と保全のバランス;生態系アプローチは保全と利用の間、そして統合的な適切なバランスを探さなければならない。
11. 全ての関係情報;生態系アプローチは科学、地元の知識、革新と実地を含む全ての関連情報を考慮しなければならない。
12. 多岐に渡る専門性;生態系アプローチは社会と科学規範の関係する全ての分野を含まなければならない。

対象国は南アメリカの、チリ、アルゼンチン、ペルー、ウルグアイ。アンケートやインタビュー調査を行って、ステークホルダーにどのくらい上記の条項が認知されているかを調べた。条項に賛成か否か(Table1)、生態系アプローチの満足と成功の度合い(Fig1)、どの条項がどのくらい満足と成功に関わっているか(Table4)。結果として条項9と11は浸透しているようだが、6は重要視されていない(それどころかマイナスだと思っているところもある)。



2011/09/09追記
研究室メンバーからもっと詳しく教えてほしいと要望があったので、加筆する。

【要旨】
生態系管理(Ecosystem-based Management)はかなりの注目を浴びている。しかしながら、海洋での生態系管理の経験例は乏しい。従って、現行の政策における生態系管理を構成する要素のついての経験情報と、それらが提供するであろう背景や生態系管理の改善のための教訓は、タイムリーである。この研究は、現行の海洋管理策の原則についてのステークホルダーの認知具合を、南アメリカにおける4つの発展途上国から抽出したケーススタディにおける沿岸域の管理についての満足度と成功度に関して、どのように彼ら(ステークホルダー)が感じているのかを調査した。

【イントロ】
生態系管理の改善のための理論的な知見やガイドラインは主に発展途上国由来である。しかしながら、海洋における生態系管理の適用例は少ない。従って、生態系管理周りの主な議論は、その改善や、意思決定の難しさ、その他もろもろに集中している。この意味で、(こっから意訳)理論だけでなく実際に生態系管理を導入したということによる経験的な情報を得ることは、生態系管理の改善においてタイムリーである。先行研究はあるが、ローカルスケールでの議論が抜けている(大事なのに)。存在する法律、保全管理戦略は、おそらく生態系管理の原則に組み込まれており、どのような要因が生態系管理を妨害あるいは促進しているのかの重要な教訓を提供する(ちょっとよくわからない)。

【マテメソ】
生態系管理原則の存在についてステークホルダーの認知具合を決定するために、調査を行った(4つの国で2007年に8月から12月の間)。(アンケートについては良く分からないので合っているか分からないが)、三つの項目について聞いた。a)12個の原則に関する2つの項目、b)成功度に関する5つの項目、c)満足度に関する3つの項目。295個のサンプルを得た。アンケートは点数方式で、高い点ほど、より認知されているということを表す。「賛成でもないし反対でもない」という項目に対して有意に点数が異なっているのか、というのを検定した。同様に、満足度・成功度も、ステークホルダーごとの平均値を算出した。重回帰分析で成功・満足の度合いを応答変数に、各原則をカテゴリカルな独立変数として解析して、どの原則がどのくらい成功と満足の点数に寄与しているのか調査した。

【リザルト】
表1がどの原則が有意に「賛成でもないし反対でもない」よりも点数が高かったか(点が高い=認知されている)、あるいは点数が低かったか、ということを表す(ただし、どのようなアンケート表になっているのか本文中に書いていないので、詳しくは分からなかった)。Fig1が各点数の平均値をステークホルダーごとに出したもの。黒い部分が多いほど満足、あるいは成功していると思っていることを示す。Table4が重回帰の結果。共線性回避のため、12個全ての原則では解析していない。数字の大きさが影響の度合いを示し、符号がその正負の方向を表す。プラスの符号なら、それは成功の度合いにプラスに働いている、等といった具合。

【ディスカッション】
この研究は、既にある保全策に生態系管理の原則が明示的に含まれていないが、それでも効果的な改善が既存の管理構造によって高められる可能性を示した(12個の原則というのが理論。しかしその理論を現場では認識されていない。だから表1は理論と現実の乖離を表している。乖離が起きているところをもっと認識させればよい)。この意味では、一般参加型アプローチに基づいた(ローカルを考慮したという意味だと思う)政策、つまりボトムアップによる計画は(一方で政府が勝手に決めるのがトップダウン。発展途上国での生態系管理がこれ)、生態系管理に含まれる全ての原則を含んだコンセンサスに至るために重要。

9と11の原則が現行の政策でも、数多くのステークホルダーに認知されていた。加えて、11はペルーとチリの成功度にとって重要だった(Table4)。これはチリとペルーの政策の背景と関係している。つまり、ローカルレベルでの方策が沿岸のゾーニング計画やモニタリングの参加に重要なので。これは生態系管理の改善に欠くことが出来ない。アルゼンチンとウルグアイで、10に賛成した面接された人は、成功の経緯も認知していた。

不幸なことに、原則6が成功や満足と全く関係していなかったので(Table4)、科学者はこの原則をきちんと議論しなければならない。ウルグアイの例はどの程度管理策とステークホルダーの認知度が分離されているかによって、生態系管理の有効性が無効にされたり、非現実的な計画となってしまう良い例である。ウルグアイでは政治主導で生態系管理の例はあるが、ギルド主導での例はない。
posted by しばきん at 17:40| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月27日

8月の目標(英語)



人に手伝ってもらって、Rank2と3で30問ずつテスト。Rank2は29問正解。間違った熟語はmake an excuse.
Rank3は27問正解。間違った熟語はlet on, keep in, make ends meet.

これで単語力と熟語力が固まった(はず)。来月からはリスニングの勉強に移行する。
ラベル:英語
posted by しばきん at 14:35| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の目標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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