2011年09月26日

生態系サービスの維持には高い植物の多様性が必要

Isbell, F. et al. High plant diversity is needed to maintain ecosystem services. Nature 477, 199-202 (2011).

以前読んだサケの回帰量がポートフォリオ効果に似ている、という話を思い起こさせた。一般的に多くの種がいたほうが多様性が維持される、ということは言われているが、それのメカニズムに迫っている。つまり、この論文によると、ある生態系サービスを施す種は、毎年違うのだそうだ。しかも場所ごとにも違うのだそうだ。まずFig.2aで言っているのは、種の数が増えれば増えるほど、生態系にサービスを施す種も増えるというもの。これは普通。しかしその横のFig. 2bを見ると、年・場所・環境の変化ごとに寄与している種の重複数を数えると負の相関であった。つまり、同じ種がずっと同じ場面で寄与しているわけではないということ。そうやって色んな"context"で色んな種が活躍して、総合的にFig.2aとなっているようだ。明示的に単語は出てこなかったがまさしくportfolioだと思う。

理系人に役立つ科学哲学


全体的にこうすれば正解、というような文体になっておらず考えさせられる内容。面白かったのは、科学とは、のくだり。確かに良く考えてみれば、科学は真実である必要はない。そして反証可能性がなければ科学ではなさそうに思われる。さもなくば宗教だろうか。これは何度も読み返そう。
posted by しばきん at 13:12| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

非対称の共進化ネットワークが生物多様性を維持する

Bascompte, J., Jordano, P. & Olesen, J. M. Asymmetric coevolutionary networks facilitate biodiversity maintenance. Science 312, 431 (2006).

F1000で高ランクだったので、読んでみた論文。共生的な関係が生物多様性を形作る、ということは広く知られている。著者らは共生関係にある二種の依存度は、ある動物がある植物を訪れた全体に対する割合で計算している。逆もしかり。これを図にしたのがFig2で、全く特定の種に依存していないように見える(依存度がほとんど0に偏っている)。

しかし、ある動物とある植物のお互いの依存度の差を計算すると、話が違ってくる。それがFig3で、物凄い依存している様子が見て取れる。つまり、動物Aが植物Bに依存していたとしても、植物Bは動物Aに依存していないということである。これが非対称性である。

これと組み合わせて理解すべきなのがFig4で、x軸が(例えば)ある動物Aからある植物B:Zへの矢印の数で、y軸が植物B:Zの動物Aへの依存度の合計である。普通ランダムに期待される結果は、一つの種が増えてもその依存度が増える割合というのは線形になりそうである。しかし、図は二次関数となっている。つまり、関係する種の数が増えるほど、ランダムで期待されるよりも多くの依存をしているということになる。これは適応ではないのか(ある種に対してスペシャリストになったから)。進化しているのではないか。しかもそれが、動物→植物の関係だけでなく、植物→動物や、花粉媒介者→植物にも見られる。つまり、全員が全員に対して適応的になっているように見える。しかもそれはFig3であったように、非対称、つまり特定の相手の相手もやはりその特定の相手、というわけではない。A→BであってもB→Aでないということだ。だから一度にそうなっていることから、これが共進化、ということになるのだろう。

だから今まで共生的な関係が生物多様性を維持すると思われていたが、共生的で非対称な共進化が維持する、ということになるのだろう、と思う。この分野は全く詳しくないが、読んでいて面白かった。



二冊まとめて。




最初の話は科学者サイドからの意見で、あとは記者の方が書かれているお話。切り口が全く違って面白い。科学者の話は、最初のほうは歴史や自分の経験を元に書かれていて、肝心のイルカを食べる理由は、少しだけである。しかもその理由は科学というか哲学に違いものに感じられた。しかし、そこでイントロ部分の多くを歴史に割いた理由も感じられた。ちなみに著者の主張は、南極海での捕鯨は(色々)グレーだから日本沿岸にすべき、だというもの。科学的な調査について、改めて考えさせられた。記者の方が書かれた方はずいぶんまえに読んだのでうろ覚えなのだが、基本的に自分が取材を通じて分かったこと・感じたことを書いており(当たり前か)、まず色んなデマや報道の裏側を暴いていく。うーん、うまくまとまらない、もう一度読もう。後日追記。
ラベル:競争 書評
posted by しばきん at 14:36| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

9月の目標(数学)

台風にかこつけて家で作業。でもやはり家だと他のことをしたくなってしまう。そういうわけで数理統計学の9月の目標終了(p62まで)。その際二変量正規分布も勉強したので、自分で色々確認。

> set.seed(1)
> x <- rnorm(5000, mean=1, sd=1)
> y <- rnorm(5000, mean=x*5, sd=3)
> z <- rnorm(5000, mean=mean(y)+cor(x, y)*(3/1)*(x-mean(x)),
+ sd=sqrt((1-(cor(x, y)^2))*(3^2)))
> plot(x, z)
> mean(z);sd(z) #周辺分布はyと一致
[1] 4.92102
[1] 3.074638
>
> res <- lm(z~x)
> par(mfrow=c(2, 1))
> plot(mean(y)+cor(x, y)*(3/1)*(x-mean(x)), predict(res)) #予測値と理論値が一致(感動)
> abline(a=0, b=1, col=2)
> plot(z-(mean(y)+cor(x, y)*(3/1)*(x-mean(x))), z-predict(res)) #予測値と理論値が一致
> abline(a=0, b=1, col=2)
>
> ###たたみこみ(wikiの図が面白い)
> ###Z=X+Y=3+2だとする
> func <- function(x) {
+ dnorm(x, mean=3, sd=1)
+ }
> func2 <- function(x) {
+ dnorm(x, mean=5-3, sd=3)
+ }
> func3 <- function(x) {
+ func(x)*func2(x)
+ }
> integrate(func3, -Inf, Inf)
0.1200039 with absolute error < 4.4e-07
>
> func4 <- function(x) {
+ dnorm(x, mean=2, sd=3)
+ }
> func5 <- function(x) {
+ dnorm(x, mean=5-2, sd=1)
+ }
> func6 <- function(x) {
+ func4(x)*func5(x)
+ }
> integrate(func6, -Inf, Inf)
0.1200039 with absolute error < 4.4e-07
> integrate(func3, -Inf, Inf)$value==integrate(func6, -Inf, Inf)$value
[1] TRUE
ラベル:R 数学 統計学
posted by しばきん at 17:45| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の目標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月20日

宇宙は本当に一つなのか



最近数学の本を読む機会が増えて、それでなぜか物理にも手を出し始めた。その中でも特に衝動買いをしてしまった一冊。真実が書いてあるのかどうかは門外の僕には分らなかったが、読みやすさ、という点ではとても良い本であった。宇宙が一つなのかどうかも、複数あるとするのと尤もらしいく計算できる、ということかなと思いました。最初から最後まで楽しく読ませていただきました。
ラベル:書評
posted by しばきん at 22:06| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月19日

ベクトルの一次変換とニッチの定量化

本屋で立ち読みした数学の本で、一次変換の図例が載っていたのでちょっと色々勉強しなおしてみた。その過程で固有値と固有ベクトルについても理解を(少し)深めた(つもり)。例えば、普通に行列A(2*2)をかければ、ベクトル(x,y)は長さと方向が変わるが、それが変わらないベクトルがある。それが、行列Aに対する固有値(長さ)であり、固有ベクトル(方向)である。つまり、固有値と固有ベクトルというのは、行列Aをあるベクトルに掛けたときに、そのベクトルがどのように一次変換されるのかを理解するためのツールであると認識した(今のところ)。

ふーむ、と思ってそれを表すプログラムを書いてみた。

<- expand.grid(seq(-10, 10), seq(-10, 10))
> M <- matrix(c(1, 1, 1, 1), 2, 2)
> xy <- xy. <- xy2. <- NULL
> plot(0, xlim=c(-20, 20), ylim=c(-20, 20), cex=0)
>
> ###固有べクトルから固有ベクトルと同じ方向、つまり傾きを算出
> slope <- eigen(M)$vectors[2, 1]/eigen(M)$vectors[1, 1]
> slope2 <- eigen(M)$vectors[2, 2]/eigen(M)$vectors[1, 2]
> abline(a=0, b=slope, col=2, lwd=3)
> abline(a=0, b=slope2, col=2, lwd=3)
>
> ###変換前と変換後をプロット
> for(i in 1: nrow(ex)){
+ xy <- matrix(c(ex[i, 1], ex[i, 2]), 2, 1)
+ xy. <- M%*%xy
+ xy2. <- rbind(xy2., t(xy.))#segments(xy[1], xy[2], xy.[1, 1], xy.[2, 1])
+ }
> segments(ex[, 1], ex[, 2], xy2.[, 1], xy2.[, 2])
> points(ex)
>
> ###固有ベクトルと同じ方向だと固有値倍となる
> eigen(M)
$values
[1] 2 0

$vectors
[,1] [,2]
[1,] 0.7071068 -0.7071068
[2,] 0.7071068 0.7071068

> M%*%c(1, 1)
[,1]
[1,] 2
[2,] 2
> M%*%c(-1, -1)
[,1]
[1,] -2
[2,] -2
>

Eigen_vector.jpeg

図中の丸が変換前のベクトル。図中の矢印が変換された先のベクトルを表す。これを見ると、方向は固有ベクトルの方向、つまり傾き1とー1方向に変換されている(線の上に集まってきている)。加えて、線の上に乗っているやつは、固有値倍となっている。なるほど、こういうことかー。これを大学一年の線形代数の授業で教わりたかった。固有ベクトルが虚数のときはまた違うらしいが、それはまた今度勉強しよう。

今日の論文。
Environmental Niche Equivalency versus Conservatism: Quantitative Approaches to Niche Evolution. Dan L. Warren, Richard E. Glor, Michael Turelli. Evolution 62(11):2868-2883. 2008. doi: 10.1111/j.1558-5646.2008.00482.x

近年、ニッチの進化、種形成、分岐群内の多様性に関する基本的な問いに答えるために、ニッチモデルの使用が増えている。ニッチが進化的時間を超えても保存されるという仮説(niche conseratism)かどうかには注意すべきであり、その仮説に則った研究はしばしば異なる結論を導く。しかし、それは仮説が間違っているということも考えられるが、もしかしたら、どのような帰無仮説を提示したのか、によるものかもしれない。そこで、著者らは、従来のようなどんな確率分布に従うのか分からないニッチの指標を表す統計量から、カイ二乗分布に従う定量的なニッチのオーバーラップの測り方を提案している。そしてそれを適用した研究となっている。結果としては、niche similarity(似た種は似たニッチを占める。ただし全く同じことはレアである)が支持されるのだが、手法のほうが目新しいのかな、と感じた論文。




posted by しばきん at 15:13| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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