2012年06月07日

推定関数による非定常ネイマンスコット過程の推論

Waagepetersen, R.P. (2007) An estimating function approach to inference for inhomogeneous Neyman–Scott processes. Biometrics, 63, 252-258.

統数研のS谷さんのお誘いで始めた空間点過程セミナー第一回目。担当は僕とS谷さん。推定関数というのは、パラメタを推定するための関数で、不偏性とか情報不偏性を満たすものが良い推定関数とされる。例えば対数尤度関数を微分したスコア関数も推定関数の一つだし、擬似尤度スコア関数も推定関数らしい。(まだ僕の中で巧く理解出来ているか自信がない)

詳しくは日本語だとこの辺り。
柳本武美 (1995) 推定方程式に基づく推定: 最尤法とモーメント法から. 応用統計学, 24, 1-12.

英語だと、一番古いものでこれ(のはず)。
Godambe, V. (1960) An optimum property of regular maximum likelihood estimation. The Annals of Mathematical Statistics, 31, 1208-1211.

要は尤度関数だと巧く推定出来ない場合も、推定関数であればパラメタの平均値と分散を分けて推定出来たりするので、尤度と違って仮定した誤差分布に推定値が依存しないというメリットがある模様。

今回読んだ論文は、非定常ネイマンスコット過程によるモデリングで、親の周りに存在する子供の分布を上手くモデリングする試み。通常はMCMCで尤度ベースでチコチコ計算するらしいのだが、そうすると巧くアクセプトされる確率が下がるらしく(おそらくメトロポリスヘイスティングスを使っている?)、そこで簡便に推定関数で計算してみましょうというもの。まず通常の非定常ネイマンスコット点過程のモデリングを当てはめるのだが、そのときの回帰部分のパラメタβは、親の密度κと子の分散ωに依存しない形で、推定する。単純に非定常ポアソン過程の尤度式となっている。そのため、ネイマンスコット過程の尤度関数をきちんと書き下していないため、尤度関数といわず、推定関数と読んでいる模様。

κとωは別に定義したK関数を最小二乗法によって計算する。どこまで積分するのか等色々と問題があるようだが、議論の中でパーム尤度というものを使えば、少なくとも1/4乗してからK関数を最小二乗法で当てはめる必要はないということであった。

この論文のポイントはそうやって別々に計算したβに、漸近正規性があり、それが解析的に導けるというところ。普通こんな風に計算したらどんなものになるのか想像もつかないようなものだが、シミュレーションでやってみたら、意外とというかきちんと理論解付近にβの推定値が収まったのでめでたしめでたし。親の数が無限大という条件での漸近正規性のようだが、親の数が25個体(1000*500mのエリアで)くらいでも巧く推定出来ていた。

残念ながら導出された理論解までは読み解くことが出来なかった。(S谷さんも読み解けなかったのだからまぁいいか、と言い訳してみる・・・)数学的素養が欲しい。

二本目の論文はS谷さん担当の
JALILIAN, A.H. & VAHIDI‐ASL, M.Q. (2011) Residual Analysis for Inhomogeneous Neyman–Scott Processes. Scandinavian Journal of Statistics, 38, 617–630.

こちらは一本目に時間と労力を割いたので予習が不十分であった。残差解析というものをしていて、ラプラス関数という僕には意味不明なものを持ってきているのだが、これを上手く使うと残差解析に応用できるらしい。良く分からなかったが、ポアソン過程の場合はラプラス関数が巧く定義出来るらしい。そうすると、ちゃんと巧くトレンドを捉えてモデリング出来ているときは、残差にも傾向は見られないのだが、失敗していると残差にトレンドが残る、とのことらしい。(良く分かっていません、ごめんなさい、S谷さん。大体、6時間半ぶっつづけなのも・・・ぶつぶつ)。

しかしながら大変良い勉強になった。
また次回も是非参加したい。
posted by しばきん at 21:19| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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